【基調講演/サービスデザイン・ラボのジャーニー】
山口 博志(大日本印刷株式会社 サービスデザイン・ラボ 部長)
サービスデザイン・ラボのジャーニー
サービスデザイン・ラボの山口博志氏より、Service Design Japan Chapterが誕生し、日本で初めてService Design Conferenceが行われた2013年から過去3年間の活動を振り返り、実践を通じて得た大きな「3つの学び」についてお話頂いた。
「サービスデザイン・ラボのビジョン」
世の中は未だ、さまざまなPainであふれており、それらの多くは「どうせ変わらない」というネガティブな常識が壁となっている。これらネガティブな常識をポジティブにシフトし「未来のあたりまえ」を共創し続けたいと考えてる。この根底にある「ポジティブシフト」のビジョンとサービスデザインの思想を軸にこれまで多種多様なクライアントと多くの共創を実践してきたとのこと。
「学び① 本気の参加型デザイン」
ある都市開発会社との共創プロジェクトで地域活性化を目的としたまちづくり計画創出プロジェクトを紹介頂いた。
クライアントから提示された課題をそのまま解決するのではなく、対象の地域で暮らす生活者や働く人々をデザイン活動のパートナーとして迎え、彼らが本当に欲しているアウトカムが何なのかを発掘することで、真の課題を再定義し進めて行った。本件では、街づくりの計画書を答申するところまでがプロジェクトスコープであったが、国の予算承認がおりるのを待つことなく、参加していた地域住民が出来るところから始めようと、主体的にアイデア実現に向けて動き出したとのこと。
この出来事から、デザインのプロセスに本気で参加した生活者は自ら世の中を変えようと動き出すという大きな学びを得たと言う。
「学び② 体験価値の見直し+ローカライズ」
次は某金融会社との取組事例。
従来のブランディングやデジタルマーケティングによる新規顧客獲得には限界を感じ始めており、自社ブランドの価値を生活者目線で再設計し、新たな付帯サービスの開発や獲得施策を立案していくプロジェクトを実施。
複数の部門を横断したプロジェクトチームによる取組みでは、言語や重視する指標が大きく異なる為、グラフィックファシリテーションによる繋がりの可視化が必須であるとのこと。
「学び③ デザインプロセスのデザイン」
3つ目は、自社の研究開発セクションとの共創プロジェクト。
企業のミッション・ステートメントと、研究開発セクションで取り組んでいる研究テーマが乖離してきたため、デザインプロセスを通じて事業と直結するビジョンと研究テーマを生み出すプロジェクトを実施したとのこと。
重要なポイントは、このプロジェクトを「定常化」させていくために、実務とのギャップを汲み取りながら共創プロセス自体のデザインに取り組んだことであり、結果、組織全体にイノベーションの波及効果を生み出したと言う。
「サービスデザインをする上での3つのコツ」
最後にマインドセットについて。プロジェクトを成功へと導くためには、3つのコツがあると言う。
1. プレイフル・シンキング
2. 共創
ヒエラルキーを作らない、相手を否定しない。はじめに立てた計画通りに行くことはまず無い、その場で工夫していくことが重要である。
最後に、これからも「世の中をポジティブにするイノベーションを皆様とサービスデザインで行っていきたい」と締めくくった。
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